
自分も最初にその動画を目にしたとき、思わず息を止めた。YouTubeの人気チャンネル「佐久間宣行のNOBROCK TV」で繰り広げられる企画「ツッコミウォリアーズ」。
そこに突然現れた、婦人服売場の店員姿の女性。客のトンツカタン森本に向かって、笑顔を浮かべながらジリジリと距離を詰めていく。
インパルス板倉の指示で変顔からのキス顔攻撃。トンツカタン森本の悲鳴が響き、画面の向こうで視聴者も爆笑の渦に巻き込まれる。
安田乙葉さんもとてもお綺麗で素晴らしいですよね〜!
ネットは一瞬で沸いた。「誰このおばちゃん? 迫真すぎて怖い」「素人じゃなくてガチの役者だろ」「このキス顔の説得力、何事」。コメント欄はそんな声で埋め尽くされ、再生回数はあっという間に100万回を突破した。自分もその一人だった。
あの瞬間、ただのバラエティの笑いを超えて、何か違うものを感じたんだ。後で調べて知った。あの女性の正体は、女優の倉金春さん。59歳のベテランで、舞台やドラマで活躍する実力派。
ようやく、こんな形で大衆の目に留まった。彼女の演技は、ただのキス顔じゃない。人間の欲求や距離感を、痛いほどリアルに突きつけるものだ。
本来、もっと早く評価されるべき存在だったのに、なぜ今まで影に隠れていたのか。そこから、倉金さんのキャリアを追いかけてみたくなる。自分にとって、これはただの女優紹介じゃない。見逃されていた才能が、ようやく花開きそうな予感に、心がざわつく話だ。

目次
ノブロックTVの爆笑裏側:キス顔おばちゃんが教えてくれた、演技の恐ろしさ
あの企画の舞台は、操り師・インパルス板倉さんが仕掛けるボケまくり商店街。トンツカタン森本が、板倉の「概念」たる操り人形のようなボケ役の女性たちに翻弄されながら、商店街から脱出を目指すというもの。
トンツカタン森本さんがターゲットで、過去の因縁対決がここに集約された超大作だ。倉金さんは婦人服売場の店員役で登場。
客として入ってきた森本さんをターゲットに、いきなり「じゃあ、丈詰めますね」。
トンツカタン森本さんも「怖い怖い怖い」と怯えていましたねw
このエピソードは、「【超大作】ツッコミウォリアーズ前編〜板倉操るボケまくり商店街から脱出せよ〜」と「【完全決着】ツッコミウォリアーズ〜板倉操るボケまくり商店街から脱出せよ〜決着編」の2部構成で、2025年の大型ロケとして配信された。
板倉さんの「板倉とは人物ではない、概念なんだよ」という名言が炸裂する中、森本さんは投資家テスタの登場や「arukati」の工場潜入まで巻き込まれ、魂レベルのツッコミを繰り出す。
婦人服売場シーンは前編のハイライトで、倉金さんの迫真演技が商店街全体の狂気を象徴する。でも、笑いの裏側に潜むのは、倉金さんの演技力の深さだ。
インパルス板倉から「変顔出来ます?」との依頼に、咄嗟に変顔を出し、そのままキス顔まで一気にその場を掌握しましたw
トンツカタン森本が「商店街AVか!」といった場面は爆笑ものww
自分はこれを何度もリプレイした。彼女の表情は、ただの押しが強いおばちゃんじゃない。欲求の渦中にある人間の、切実さや孤独すら感じさせる。
キス顔という行為が、コミカルなのにどこか生々しい。バラエティの文脈でこれを成立させるのは、並大抵のことじゃない。
このシリーズは、過去の「第2回ツッコまれたい女たち」や「ツッコまれたい女たちリベンジ」、「トンツカタン森本 vs 加護亜依&操り師板倉」などの名勝負から生まれた集大成。
視聴者からは「キスおばちゃんの進化版、怖かわいい」「これぞ本物の役者」との声が殺到。
バズのきっかけはここだ。自分も、最初はただのネタ動画だと思ってクリックしたのに、気づけば彼女の過去作を漁り歩いていた。
この現象は、決して偶然じゃない。倉金さんは、バラエティの即興でさえ、役の内面をしっかり構築するタイプ。
彼女のキス顔は、ただのギャグじゃない。相手の反応を引き出すための、計算された一撃。ネットで「キスおばちゃん」として拡散されたおかげで、彼女の名前を知った人は多い。
でも、そこから先の深みにハマると、もう抜け出せない。なぜなら、倉金春は、そんな一過性のバズで満足する女優じゃないからだ。
宮城から東京へ:着付けの講師から女優へ、静かなる転身の軌跡
倉金春、1966年4月21日生まれ。宮城県出身の59歳。身長158cm、体重48kg。AB型の彼女は、プロフィールだけ見ればごく普通の女性。
でも、そこに秘められたバックグラウンドを知ると、すべてがつながる。幼少期から地唄舞(吉村流)に親しみ、12年間新体操を経験。
心身のしなやかさが、後の演技の基盤になったんだろう。特技は着付けで、講師経験もある。着物姿の役どころで、いつも上品さと存在感を放つのは、この賜物だ。
キャリア
キャリアのスタートは舞台。アルファセレクションに所属して以来、毎年2〜3本の公演に出演。流山児事務所の「瓦礫のオペラ」や「戦場のピクニック」では、不条理演劇の渦中で、静かな迫力を発揮。
目標とするのは、戦後日本演劇の巨匠・杉村春子。彼女の名を冠した「春」という芸名からも、その志がうかがえる。映像界への本格進出は2018年頃。
エキストラから始まり、徐々に役を掴む。NHK連続テレビ小説「半分、青い。」や「とと姉ちゃん」では、脇役ながら家族の温かみを体現。TBSドラマ「王様に捧ぐ薬指」では、複雑な人間関係の鍵を握る母親役で、視聴者の涙を誘った。
映画
映画では、2023年のカルトヒット「妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク」で一際目立つ。サメと忍者のバカバカしいバトルの中で、彼女は村の女将役。
着物姿で刀を振るうシーンは、コミカルさと凛とした強さを併せ持ち、ファンから「隠れたMVP」と称賛された。
CMでは学研の家庭教師シリーズに登場し、母親の優しさを自然に演じる。こうした積み重ねが、NOBROCK TVでの爆発を支えたんだ。
自分は「半分、青い。」の再放送を見て、倉金さんのエピソードにハッとした。あの穏やかな笑顔の裏に、キスおばちゃんの狂気が潜むなんて。ベテランゆえのギャップが、彼女の武器だ。
最近の活動
最近の活動も活発だ。2025年現在、舞台「ココでのはなし いつでも帰っておいで」に出演中。家族の絆を描く本作で、倉金さんは帰省する娘の母役。
セリフの端々に、人生の酸いも甘いも滲ませる演技が、観客の胸を打つ。X(旧Twitter)では、共演者の三木香さんとの観劇エピソードを投稿し、ファンとの交流も欠かさない。
@qUdGJc46ILw7sAMのアカウントで、彼女の日常が垣間見える。「心に響く・記憶に残る役者を目指しています」というプロフィール通り、投稿一つ一つに真摯さがにじむ。
アルファセレクションの企画動画「女優たちの狂宴シリーズ」では、日本画風の狂気を演じ、女優としてのレンジの広さを証明。こうした地道な努力が、ようやく実を結び始めている。
キャラクターの魅力:明るいおおらかさと、熟れた色気の狭間
倉金さんの魅力は、キャラクターの多面性にある。明るくおおらかで、GO!GO!の体育会系。インタビューで「心はいつも若い」と語るように、新体操の経験が体に染みついている。
舞台では女将さんや踊り子役が多く、信頼感のある上品さが光る。でも、NOBROCK TVで見せたように、バラエティでは一転してブチギレの狂気を爆発させる。この振れ幅が、彼女を稀有な存在にするんだ。
自分は特に、彼女の「距離感の演技」に惹かれる。キスおばちゃんのシーンで、相手の息遣いに合わせる微妙な間合い。あれは、ただの物理的な近さじゃない。
人間の内面的な渇望を、視線と息遣いで表現する。AB型の特性か、論理的で計算高い一面もある。舞台の不条理演劇では、言葉少なに感情を爆発させる役が多く、観客を黙らせる。
映画「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」では、魔法の秘密を抱える老婆役で、静かな威圧感を放つ。視聴者層は幅広い。
舞台ファンには深み、ドラマ好きには親しみやすさ、YouTube世代にはエンタメの新鮮味。
男性ファンからは「熟れた色気がたまらない」との声も。59歳とは思えない、しなやかなボディラインと、着付けの洗練された所作。エロスを匂わせず、でも自然に漂わせる大人の魅力だ。
今後の伸びしろ:バラエティと本格演技のクロスオーバーで、さらなる飛躍
倉金さんがこれから輝く理由は、明確だ。一つは、バラエティ適性の高さ。NOBROCK TVの成功で、テレビ局からのオファーが増える可能性。
2025年の大型ロケ企画「ツッコミウォリアーズ~ボケまくり商店街から脱出せよ~」では、インパルス板倉さんから操られる演技が実現。商店街を丸ごと操るドッキリで、彼女のアドリブが炸裂した。こうした経験が、演技の幅を広げる。
もう一つは、熟女役の需要。現代ドラマでは、複雑な母親像が求められ、倉金さんの人間味がぴったり。舞台では、杉村春子リスペクトの古典劇に挑戦の兆し。映像では、VRや配信ドラマの可能性も。彼女のキス演技の妙は、親密さを描くジャンルで活きるはずだ。
ファン的まとめ:倉金春を追いかけるべき理由、5つのポイント
- 演技の説得力:キス一撃で心を鷲掴み。内面のリアルさが、笑いと感動を生む。
- キャリアの深み:舞台中心のベテラン。NHK朝ドラや映画で、確かな足跡。
- キャラクターのギャップ:上品な女将から狂気の店員へ。熟れた色気が、静かに魅了。
- 未来のポテンシャル:バラエティ×本格の融合で、大ブレイク間近。
倉金春は、名もなき俳優の鏡。ようやく世が気づき始めた、輝くべき星だ。自分も、彼女の次の役を待ちわびる。あなたも、NOBROCK TVから遡ってみてほしい。きっと、演技の新しい扉が開くはずだ。
(参考:倉金春公式プロフィール、NOBROCK TV配信アーカイブ、映画.com出演情報、X投稿など。)